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門脈シャントとは

2020年10月21日

門脈シャントとは

門脈とは、胃腸管、膵臓、脾臓などの腹部臓器と肝臓をつなぐ血管であり、消化管で吸収された栄養分や毒素を運んでいます。この門脈を介して運ばれた様々な物質は肝臓にて生体に有効に利用できるような形に、合成・貯蔵・解毒されています。
門脈体循環シャント(PSS)とは、門脈と後大静脈の間にシャント血管と呼ばれる異常な血管を有している病気です。そのため本来肝臓に入るべき胃腸からの血液が、全身に循環してしまいます。これにより肝臓に栄養を送ったり、有害物質の解毒ができなくなり進行性の肝障害や肝不全、痙攣発作などの神経症状、成長不良、尿路結石などを引き起こすことがあります。またPSSは先天性と後天性に分類されます。先天性の場合は胎児期の異常血管が原因となるため多くの症例において外科治療が適応となります。一方後天性の場合は肝不全などの門脈圧の亢進を引き起こす病態に伴うため外科治療は不適応です。

診断

先天性P S Sでは成長不良、発作、食欲不振や嘔吐などの消化器症状、膀胱結石などの症状を呈すことがあります。
診断は
血液検査:肝数値の上昇、高アンモニウム血症、食前・食後の血清総胆汁酸濃度(T B A)の上昇
画像検査:超音波、開腹下における門脈造影、C T検査などによるシャント血管の描出
などを実施して総合的に判断します。

治療

先天性P S Sでは外科手術による治療が第一選択となります。術式にはシャント血管の結紮術、アメロイドコンストリクター法、セロファンバンド法などがあります。
内科治療として点滴、低タンパク食、抗生剤、ラクツロースなどを組み合わせた対症療法が適応になりますが、根治は難しいです。

[実際の症例]

症例:1歳9ヶ月、ヨークシャーテリア、雄
経過:去勢手術の術前検査にて肝酵素の上昇とレントゲン 検査にて小肝症が認められたため、血清総胆汁酸濃度(T B A)を測定したところ、食前・食後共に正常値を上回る数値であり先天性の門脈体循環シャントが疑われました。

さらに追加のC T検査にて脾静脈後大静脈のシャント血管が確認されました。

本症例では先天性のP S Sであり、根治的な治療として外科手術が適応となりますので、飼い主様と相談の上、開腹下にてシャント血管の結紮術を実施しました。

まず開腹下にて門脈造影検査を行い、シャント血管の確認を行います。


※門脈造影:矢印(↑)がシャント血管

シャント血管の結紮は、結紮後の門脈圧の上昇程度により、2回に分けて行うこともあります。
シャント血管を同定したら、結紮糸をかけ仮遮断し、門脈圧の変化を確認します。
幸いこの子は仮遮断後の門脈圧の上昇も軽度だったため1回目の手術で完全結紮が可能でした。


術中写真です。
※矢印(↑)が後大静脈で、矢頭(△)がシャント血管で、絹糸にてシャント血管を確保しています。

シャント血管を仮遮断し、門脈圧の顕著な上昇がないことを確認後、絹糸にて完全結紮しました。

 

※結紮後:シャント血管の遮断、結紮前と比べ肝臓への血流改善が認められます。

また門脈シャントの術後は時に術後痙攣発作を伴うことがあり周術期の管理が重要となります。本症例は、術後経過は発作などもなく良好だったため、4日目に退院となりました。
先天性の門脈シャントは早期の発見が治療の可否に重要となります。まずは若い時期での健康診断を一度お勧めします。
また何か不明な点がありましたら、まずは当院までご相談ください。